今回は、ERC-6551について解説します。
個人的に、めちゃくちゃ好きなイーサリアムの規格です。
思想を反映する規格であり、こだわりが強い人やアーティスト気質の人が好む傾向にあります。
実際のNFTプロジェクトも紹介しつつ、解説していきますね。
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目次
1. ERC-6551とは?
2. ERCとは?
3. 6551とは?
4. イーサリアムの規格について
5. ERC-6551について
6. ERC-6551の事例
7. 終わりに
1. ERC-6551とは?
ERC-6551は、NFTがウォレットのような役割をするイーサリアムの規格です。
ここまでだと、分かりにくい説明です。ひとつひとつ解説します。
まずは、「ERC」と「6551」について。
2. ERCとは?
ERCとは「Ethereum Request for Comments」の頭文字を、取った略称です。
直訳すると「イーサリアム意見募集」
イーサリアムの中でも、規格がごっちゃになったら意味不明ですよね。
「相互運用性を高めるために規格を統一しようぜ」ってことです。
ERCについてもう少し詳しく説明すると、イーサリアムのプログラミングについて概説する技術文書のことです。
この技術文書はEIP(Ethereum Improvement Proposal、イーサリアム改善提案)で提案されます。
訳が分からなくなってきたと思うので、整理します。
EIP(イーサリアム改善提案)には、種類があります。
Standard Track
Core
Networking
Interface
ERC
Meta
Informational
EIP(イーサリアム改善提案)の中にERCがあります。
「改善提案(EIP)の中にある提案の一部がERCという規格」みたいな感じ。
参考記事: ERCトークンとは? ERC20を含む主要な規格を紹介
3. 6551とは?
6551は、イーサリアムに対する規格の提案数です。
ERC-6551の場合は、イーサリアムに対して提案された、6551番目の提案になります。
これらの提案は、すべてが可決されるわけではありません。
また、提案自体は通らなくても、提案した事実として番号は残ります。
つまり、ERC-6551はあくまで「6551番目の提案」であり、可決された提案番号ではありません。
おさらいですがEIP(イーサリアム改善提案)には、7つの種類があります。
Standard Track
Core
Networking
Interface
ERC
Meta
Informational
これらの可決された提案数の合計は1399です(2024年1月5日時点)
こちらのサイトから見れます。
4. イーサリアムの規格について
イーサリアムの規格を全て説明することはできません。
ERC-6551に辿り着く前に力尽きます。
主要な規格をザックリまとめます。
ERC-20→共通規格のトークン
ERC-721→NFT
ERC-1155→NFTみたいなもの
この3つについては、今度メルマガで解説します。
ERC-1155は、OpenSeaなどでNFTを発行する時に使用されています。
しかし、厳密に言えばNFTではないんですよね。
セミファンジブルトークンと言ったりします。(NFTはノンファンジブルトークン)
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5. ERC-6551について
ERC-6551は、「NFTがウォレット」になります。「NFT as a wallet」と言われたりもしていますね。
トークンバウンドアカウント(TBA)と呼ばれるもので、トークンがアカウントに紐づけられます。
以下の画像でイメージしてみてください。
運営者は、一度配布したNFTにNFT(トークン)や暗号資産を送ることが可能です。
つまり、運営からのエアドロップなどは、全てNFTの中に入っています。
何が防げるかというと、エアドロ狙いの輩を排除することができます。
たとえば、CloneXは多くのNFTをエアドロップしていますよね。
ハラぺーさんの記事で、過去のエアドロップがまとめられています。
これらのNFTはもちろん売買可能で、エアドロップ直後に売ってお金にすることができます。
エアドロップの噂を聞きつけて購入する人もいますからね。
コレクション目的でCloneXを欲しい人がいたとしたら、「CloneX+過去のエアドロNFT」をすべて購入する必要性があります。
上記のような問題を解決できるのが「ERC-6551」です。
もう一度先ほどの画像をみてください。
特性上、大元のNFTを売却した場合、他のNFTやトークンは全て購入者に渡ります。NFT内のトークンを個別に売却することはできません。
ERC-6551は、2023年2月にFUTURE PRIMITIVEのJayden Windle氏とBenny Giang氏によって提案されました。
Benny Giang氏は、ブロックチェーンゲーム「CryptoKitties」の共同創設者です。
6. ERC-6551の事例
2つの事例を取り上げます。
Shinsei Galverse
Shinsei Galverse(@galverseNFT)は、ERC-6551で作成されたNFTではありません。
ERC-6551の最大の特徴は、ERC-721の下位互換性があり「既存のコレクションにも対応できること」です。
新しい規格ができたときは、既存のコレクションとは別でNFTを作成する必要がありました。
ERC-6551はコードの書き換えが不要です。
Shinsei GalverseのNFTをOpenSeaで見てみましょう。
左上にバッグのマークがあります。
これをクリックすると、NFTに紐づけられたアセット(FT)やコレクション(NFT)を見ることができます。
こちらは、ぼくが所有しているギャルバースなのですが、アセット等はありません。
LOM BABY
LOM BABY(@LOMBABYnft)はERC-6551のNFTを発行しています。
見てのとおり、お腹の大きい母親のNFTです。
LOM BABYは、母親のNFTがウォレットとなっています。
LOM BABYは、NFTを発行してから40週後(人間が出産するまでの期間)に赤ちゃんのNFTがエアドロされます。
つまり、母親のNFTの中に赤ちゃんのNFTがエアドロされるわけです。
面白いですよね。ERC-6551ならではの特徴を生かしています。
さらに面白いのが、コンセプトです。
母親のNFTはSBTではないため、売却が可能です。
ただし、NFTがウォレットになっているため、赤ちゃんNFTには出会えません。
もちろん、赤ちゃんNFTがエアドロされた後も母親のNFTを売却すれば、赤ちゃんNFTごと売却されます。
尖っていますよね。「赤ちゃんと金のどっちをとるか」という選択肢を迫られるわけです。
公式noteによれば、「金と愛を比較する思考実験である」とのことです。
NFT NEWS Japanでも取り上げているので、ぜひ読んでみてください。
参考記事:イーサリアムの新規格「ERC-6551」を使用したNFT「LOM BABY」について
7. 終わりに
ERC-6551は、ブロックチェーンゲームとの相性が抜群だと思っています。
なぜなら、キャラクターNFTにアセットを付与することができるからです。
ここら辺の妄想はめちゃくちゃできます。
主人公のNFTをERC-6551にして、物語によってステータスを変える
気に入ったアセットを持ったキャラクターをゲーム内で売買
レアな武器があるが、ERC-6551のためキャラクターを購入しなければならない
ERC-6551とERC-1155などを掛け合わせることも、もちろんできますよね。
幅が広がります。
ERC-6551を使用しているLOM BABYの個展に、先日行ってきました。
関連記事:ヒューマノイド開発。最先端アートトレカ&5m級のインタラクティブアート。LOM BABY初の大規模個展「MERCURY」を開催
かなり影響され、初めて「NFTプロジェクトをやりたい」という気持ちに駆られました。
もともとは、「メタバースで経済が回れば、リアルで働けない人が稼げるかも」という理由でNFTを触り始めています。
まぁ、しばらくやることは無いと思いますけどね。
いまは技術的な所や、初心者向けのコンテンツ作成でNFT人口を増やしたい気持ちの方が大きいですから。
以上です。
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